69回目の終戦記念日

首相式辞



祖国を思い、家族を案じつつ、戦場に倒れられた
御霊(みたま)、戦禍に遭われ、あるいは戦後、
遠い異郷に亡くなられた御霊、いまその御前にあって、
御霊安かれと、心より、お祈り申し上げます。

戦没者の皆様の、貴い犠牲の上に、いま、私たちが享受する
平和と、繁栄があります。
そのことを、片時たりとも忘れません。

いまだ、ふるさとへの帰還を果たされていないご遺骨のことも、決して忘れません。
過日、パプアニューギニアにて、ジャングルで命を落とされ、
海原に散った十二万を超える方々を想(おも)い、
手を合わせてまいりました。

いまは、来し方を想い、しばし瞑目(めいもく)し、
静かに頭(こうべ)を垂れたいと思います。

日本の野山を、蝉(せみ)しぐれが包んでいます。
六十九年前もそうだったのでしょう。
歳月がいかに流れても、私たちには、
変えてはならない道があります。

今日は、その、平和への誓いを新たにする日です。

私たちは、歴史に謙虚に向き合い、
その教訓を深く胸に刻みながら、今を生きる世代、
そして、明日を生きる世代のために、国の未来を切り拓(ひら)いてまいります。
世界の恒久平和に、能(あた)うる限り貢献し、
万人が、心豊かに暮らせる世の中の実現に、
全力を尽くしてまいります。

終わりにいま一度、戦没者の御霊に永久(とわ)の安らぎと、
ご遺族の皆様には、ご多幸を、心よりお祈りし、
式辞と致します。


変えてはならない道を変えているのは、
お前だよ!